怠惰亭うぃき

「ここは？」

俺は真っ黒な何もない空間に浮いていた

確か・・・俺はみんなと酒を飲んでいたはず
酔いすぎたのか記憶が定かではない

酔いすぎて、眠ってしまって、夢を見ているのだろうか

「頭が・・・痛い！」

涙が溢れてくる

真っ黒い空間に映像が浮かび上がる
まるで、走馬燈のようだ

ハイレブナントと戦って、首を切り落とす景色
人に化けた蛮族と猛獣と戦ってる景色
トルリアの斧にラーリスの魔剣のかけらが吸われる景色

「リアの斧に魔剣が宿っていたのか・・・だから」

暗い鉱山の中でフリーダをからかっている景色
肉塊になった男の景色
みんなで温泉に入ったらパンツが盗まれた景色
タバサのパンツを一緒に選んだ景色
炎上する工場の景色
ゼルからレアを遠ざけようとして散々な目にあった景色
シビッラの記憶が失われ、それを取り戻すためにシビッラの義兄を殴った景色
救えなかった人間のロケットを握る男の景色
俺と番になるとか言ってくれた、変な女と笑う景色
しめじの村できのこ鍋を食べている景色
ふたりの少女が泣きながら笑う景色
幸せなふたりの結婚式の景色
馬鹿な女と優しい女がいる景色

そんな光景が流れる






「はっ・・・！」

俺は目が覚めた
馬車に揺られて、珍しく酔っていて休憩していたら眠ってしまっていた

「どうしたの？アオイくん」
「ん、ああ　　か。いや変な夢をな」
「なんか顔色悪いよ。泣いてた？」

俺は目元を拭った
確かに濡れていた

「そんな怖い夢とかじゃないはずなんだがな・・・」
「そうなの？ほら、これから仕事なんだからシャキっとしてね」
「ああ、もちろんだ。今回は報酬のいい仕事だしな」

おれはなにか大切なことを忘れている気がする

まあ、いいか・・・彼女さえ居てくれればそれで

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